おみそダイアリー

都内のIT企業でwebサービスのマーケティングをする、しがないOLです。あだ名は「みそ」。

Official髭男dismと坂道シリーズの比較で考える「プラットフォーム」の重要性

こんにちは。最近のコロナショックで経済が打撃を受けている中、今後生き抜くには「プラットフォームを作るか、乗っかるか」がとても重要になるのではないかなー、と考えています。

そこで今回は、アーティスト2組のマーケティングを通じて、プラットフォームの重要性を理解して生きたいと思います。

AKBとはちがう「坂道シリーズ」マーケティング戦略とは?

まずお断りしておきたいのが、私は音楽業界に全く精通していなければ、坂道シリーズのファンでもありません。ただ、坂道シリーズが人気を獲得し拡大を続けているのは知っていて注目に値するので、まずはググってみることにしました。

坂道シリーズ(さかみちシリーズ)は、秋元康がプロデュースする乃木坂46欅坂46、日向坂46、吉本坂46ら一連のアイドルグループおよび各プロジェクトの総称である。(wikipediaより)

なるほど、秋元康氏がプロデュースということもあり、基本的な構造はおニャン子クラブ(世代ではないので知らないが)やAKB48のそれと同じであろう。

AKB48ののコンセプトは「会いに行けるアイドル」。それこそがあれほどの人気を獲得したキーファクターだった。ファンはお気に入りの子を選び、劇場や握手会に行くために課金し、総選挙で投票し、推しが成長していくことに価値を感じる仕組み = プラットフォームが形成されていた。一度このプラットフォームに参加したらなかなか抜け出せない、ロイヤルカスタマーが次々に生まれる優れた仕組みでした。

一方、坂道シリーズには「総選挙」が無い。いわば”会いに行けないアイドル”坂道シリーズが人気を獲得する戦略とはなんなのだろうか。

それは、グループ総体としてクオリティの高さではないでしょうか。

乃木坂欅坂は、あえて個人の個性を封印してグループとしてブランディングをしています。メンバー個々の露出よりもグループ全体としてのクオリティで勝負し、人気を見極めてから個人の写真集などで周辺需要をすくい取っているようです。(Business Journal より)

メンバー全体でフォーメーションを組むダイナミックなダンスや、グループ総体での音楽性の向上などが坂道シリーズの特徴として見受けられ、それにより今までアイドルのメインターゲットであった男性だけでなく、女性のファンも獲得しています。

そしてAKBグループの「個」の人気に依存する仕組みから、「グループ」としての人気を醸成する仕組み = プラットフォームの形成に成功し、メンバーの不祥事?や卒業にも強く、長く生き続けられれるアイドルグループとなりました。

 

時代の寵児Official髭男dism」のサブスク戦略とは?

次に考察するのは2018年にメジャーデビューした4人組のバンド「Official髭男dism」。なお自分はOfficial髭男dismのファンです。

Official髭男dismは、当然ながら秋元康氏のプロデュース下になければ、可愛い子が何十人もいるわけでもない。ではOfficial髭男dismが活用するプラットフォームとは何でしょうか。

Official髭男dismは「サブスクでヒゲダンを聞く」というワードで注目を浴びました。これは「サブスクリプション音楽配信サービスでOfficial髭男dismの曲を聞く」という意味です。例えばspotifyが日本でサービス開始したのは2016年末のことで、まだまだ音楽のサブスクが定着していない中、Official髭男dismはサブスクサービスでの音楽配信をしていたのです。

Official髭男dismが一度メディアで注目を浴びると、サブスク音楽配信サービスを通じてファンを爆増させました。ユーザー側はサービスに加入さえしていれば音楽が聞き放題なので、物理音源がメインの流通だった時代よりはるかに音楽へのアクセスのハードルが低くなり、それゆえファンを増やすことに成功したのでしょう。

Official髭男dismが話題になれば、プラットフォーム側もこのコンテンツを推すほかない。実際Apple MusicのCMにOfficial髭男dismの楽曲が起用されていたこともあった。これも外部プラットフォームを利用する強みです。

 


Apple Music - あなたのお気に入りの音楽を、Apple Musicで - Apple

 

「サブスク配信サービスが定着するとCDが売れなくてクリエイターは困る」と言われていた時期もあったが、実際そのようなことは起きなかったのではないでしょうか。人気が出ればより大きな会場で大人数を集めたライブを開催することができるし、関連してグッズも売れる。「カラオケで一曲目はヒゲダンを歌う」という人も増えるだろうし、そのカラオケでOfficial髭男dismを知った人が新たなファンになるかもしれない。むしろこのプラットフォームに乗っかることで加速度的に人気を集めることができると言えます。

Official髭男dismはドラマや映画の主題歌を続々とリリースしており、デビュー後1stシングルはドラマ「コンフィデンスマンJP」、2ndシングルは劇場版の主題歌を務めている。人気が高まれば企業のタイアップ案件も多く獲得できるでしょう。

 

プラッフォフォームを作るか、乗っかるか

「坂道シリーズ」と「Official髭男dism」を比較考察してみて、プラットフォームの重要性が高まっていることがわかりました。

これは音楽に限った話ではありません。AmazonGoogleなど新しいプラットフォーマーの力が強くなっているこの世の中で、プラットフォームを作るか、あるいか既存のプラットフォームに乗れるかが、ビジネスの鍵となるでしょう。